ロック歌手、甲斐よしひろ(58)の二女、甲斐名都(23)が8日、「下北沢南口」でメジャーデビューする。名都は「実力がつくまでは」と、あえて父の名を伏せてインディーズ活動を続けてきたが、店頭ライブで300人を集めるまでに成長。メジャーデビューを勝ち取った。このほど都内でサンケイスポーツに父の名を初告白し、「偉大な先輩として尊敬していますが、私は私で頑張りたい」と抱負を語った。

 Tシャツにジーンズというラフな格好で現れた名都は、小柄でキュートなルックスから、実年齢よりも幼く見える。が、つぶらな瞳からは、30年にわたりロック界の第一線で活躍する父と同じ、力強さがのぞいた。

 「マイペースで3年間やってきて、自信が持てるようになりました。プレッシャーもあるけど、これが甲斐名都というものをアピールしたい」。表舞台に立てる喜びと意気込みを堂々と語った。

 小さいころから家族そろって父のライブを見に行くなど「嫌でも音楽を耳にする生活」という環境の中で育ち、読書好きも手伝って中学から詞を書き始めた。ただ、有名人の娘というレッテルを背負っての学生生活に「父親のすごさが受け入れられず、音楽から遠のいていった」という。

 転機が訪れたのは祖父と祖母の死。「家族の大切さを痛感して素直に父のことが好きになり、私も音楽がやりたいと思うようになった」と振り返る。「そんな甘い世界じゃない」と父からは反対されたが、ヒット曲を歌って吹き込むデモテープ作りの日々を送った。

 その1本が音楽プロデューサーの耳に留まり、現在の所属事務所と契約。作曲活動も勧められて始め、昨年5月に全曲を作詞作曲したインディーズ盤「夕暮れワルツ」を発売。それを携え、キーボードの弾き語りスタイルの路上ライブを、東京・町田駅前からスタートさせた。

 重みのある父親の歌声とは対照的な透明感あふれる歌声と、胸がキュンとなる乙女心を描いた詞は徐々に評判を呼んだ。そこで30人以上の客を集められれば次の急行・準急停車駅へと進む小田急沿線東上ライブを敢行。翌年2月にはタワーレコード新宿店で300人を集めるまでになった。

 父親の甲斐も今では応援している。下北沢の駅前で名都が路上ライブを行った時、娘の姿が見えるパブでひそかに見守っていたという。「家ではサッカーの話で一緒に盛り上がる普通のお父さん。私は私で頑張ります」。名都に二世の気負いはない。

★下北沢は名都一色

 デビュー曲「下北沢南口」は、エイベックスと力塾ファクトリーが組んだ第1弾曲として発売される。同曲は、名都が育った下北沢を舞台にした切ない恋物語のポップナンバー。その縁で、下北沢南口商店街は名都を全面バックアップ。街頭フラッグに加え、各店頭にポスターがはられ、精肉店などではCD販売も行われる。また、小田急線では14日まで10両編成のうち4両の中吊り広告がすべて名都に。14日には下北沢440でワンマンライブを開催する。
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